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市民後見人について

市民後見人とは

社会貢献のために市民後見人養成講座などで、成年後見人制度に関する一定の知識を身に付けて、他人の後見人として家庭裁判所から選任された人のことです。

市民後見とは

市民後見人又は市民後見法人によって行われる後見活動のことです。市民後見法人の多くはNPO法人や一般社団法人の形態をとっています。

市民後見人の特徴

高齢化が進展している現在、認知症や身寄りのないお年寄りが増加しており、後見を必要とする利用者は増えていくと思われます。

成年後見は専門職が対応すると考えられていますが、すべてに対応することは難しく、また、ビジネスとして後見事務を行うため、費用の問題があったり、身上保護が十分でなかったりといった課題が見受けられます。

このため、一般の市民が後見の担い手となることが期待されています。市民後見人は支援を受ける人と同じ地域社会で生活していることから、地域の実情を理解したうえできめ細かな身上保護が行えるのではないかと考えられます。

ただし、市民後見人といえども専門性を高め、不正を防止する体制を構築しておく必要があります。

市民後見人の活動の形態

①個人の場合

一般市民が個人で市民後見人になる場合、市町村が開催している市民後見人養成講座を受講し、市町村の市民後見人候補(登録市民)になることが必要です。

(ア)個人受任型の市民後見人

市町村が登録市民を家庭裁判所に推薦して、家庭裁判所がその人を後見人に選任し、市町村の支援を受けながら後見事務を行います。

(イ)支援員型の市民後見人

後見実施機関(社協など)が法人として後見を受任し、登録市民は後見実施機関と契約を結んだ上で後見事務に携わります。

②法人の場合

市民が設立した市民後見人法人(NPO法人や一般社団法人など)において、個々の市民がこの法人のメンバーとなり、後見事務を行うというものです。

市民後見人の職務

市民後見人が市町村主導の後見において携わるのは、日常的な金銭管理や身上保護、紛争性の無い事案が想定されます。

専門性の高い事案については、専門職や後見実施機関が担うと考えられます。

法人の場合は、身上保護だけにとどまらず、財産管理を含めて後見全般の事務を行うことになります。困難な事案が生じても、法人として対処する必要があります。

市民後見人の課題

個人が市民後見人となる場合、法定後見を扱うことが主になるようです。

しかし現状では、市町村によっては市民後見人の養成や登録が十分でなかったり、市町村がせっかくの市民後見人を十分に活用したり支援したり出来ていないということのようです。

法人の場合は、法定後見だけでなく任意後見・見守り・財産管理等の契約を結んで支援することもできます。また、法人で活動する場合は、監査部門を設置するなどして資金管理面で適正に運営することが不可欠です。

おわりに

2012(平成24)年に老人福祉法が改正されて、市町村は市民後見人の育成し、活用を図るとされました。

これに伴い厚生労働省地方自治体による市民後見人の養成やその支援体制の整備などを支援しています。

2016(平成28)年には成年後見制度利用促進法が制定され、成年後見制度のより一層の促進が図られています。

今後も国を挙げて、市民後見人の養成や成年後見制度の利用がさらに推進されていくことと思われます。

《参考》

市民後見とは | 地域後見推進プロジェクト (kouken-pj.org)