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成年後見人の職務について

はじめに

裁判所から成年後見人に選任された場合、本人の財産と収支を把握するとともに、選任されたことを関係機関に連絡、連携します。

成年後見人の主な職務は、【1】本人の財産管理【2】身上監護【3】裁判所への報告といったものがあります。

【1】本人の財産管理

①預貯金・有価証券の管理

年金の振り込み、光熱費等の入出金チェック、本人のための支出をします。通帳記入を確認するとともに、支出の記録を残しておきます。

後見人の職務は、財産の保全なので原則として有価証券の売却や新規購入は認められません。

②不動産の管理

自宅の維持管理をし、修繕費が発生すれば支払いをおこないます。収益物件があれば管理をします。

居住用不動産を売却処分しなければならない場合は、裁判所の許可が必要です。

③税金の申告・納税

所得税・住民税・固定資産税・都市計画税等について納付しなければならない場合、申告・納税します。

④遺産分割協議・示談・訴訟

遺産分割がある場合、後見人は法定相続分を確保し、本人の利益を守ります。

後見人と本人のどちらもが相続人となる場合、利益相反行為となり、特別代理人の選任が必要となります。

【2】身上保護

①医療について

入院・治療等に関する病院との間の手続きをします。

②住居の確保

持ち家の場合・・・家の修繕や税の支払い等

持ち家でない場合・・・賃貸借契約、家賃の支払い、契約更新等

③介護・生活維持

要介護認定や更新の手続き、事業者とのサービス契約をします。契約してからも、介護サービスが適切に行われているかを確認します。

④施設の入退所・処遇

施設に入退所する場合の手続きをします。入所後には定期的に訪問して本人を見守り、適切な処遇を受けているかを確認します。

【3】裁判所への報告

年に1回、資料を添えて本人の財産と収支を裁判所に報告します。裁判所はいつでも後見人に対して報告を求めることができるので、常日頃から準備をしておきます。

【4】後見人の職務ではないもの

◇本人の介護や食事の仕度・洗濯・そうじといった身の周りの世話は後見人の職務ではありません。

◇医療行為への同意、遺言、婚姻や養子縁組といった一身専属的な事項はできません。

【5】契約の取り消し

後見人には広い代理権があり、本人が行った契約で不利益・不利なものを取り消すことができます。

【6】死後事務

成年後見人の職務は本人が死亡すれば終了になります。ただし親族がいなかったり疎遠になっている場合、義務ではありませんが成年後見人は次のことができるとされています。

◇遺体の引き取り

◇火葬・埋葬。ただし家庭裁判所の許可が必要です。通夜、告別式は含まれません。

◇医療費・入院費・公共料金等の支払い。