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成年後見人等の事務「財産管理」

はじめに

成年後見人等の財産管理について、民法第858条には「成年被後見人の意思の尊重及び身上の配慮」として規定されています。

成年被後見人の意思の尊重及び身上の配慮)

第858条 成年後見人は、成年被後見人の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行うに当たっては、成年被後見人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。

本人の財産は、本人の意思を尊重しながら、本人の状況を見て、本人の利益となるように管理することが大切です。

ただ、本人の判断能力が十分でないことから、成年後見人等は本人の生活状況に関わる事情を十分に把握しながら、本人のために適切に財産管理を行うことを求められます。

【1】審判確定後の事務手続き

成年後見人等となった場合、家庭裁判所に指定された期日までに「就職時報告書」に財産目録と収支予定表を添付して提出します。

報告書の作成にあたっては、申請時の資料にある財産や収支の状況を確認できますが、どこまで正確であるかはわからないので、調査をすることが大切です。

【2】引継ぎ

①財産関係書類・物品について

預貯金通帳、キャッシュカード、印鑑、有価証券、現金などの本人の財産や収入支出に関する書類、各種保険証、障害者手帳、本人宛の郵便物などです。引継ぎを受けた場合、相手方に対して「受領証」を渡しておきます。

②本人居住家屋の調査

本人居住の家屋が空き家になっているような場合、関係者の複数人で調査をするようにします。

③本人宛郵便物について

本人宛てのプライベートな郵便物を開封することができませんが、明らかに財産管理に関する封書等とわかる場合は、開封するのに正当な理由があるとして開封することができるようです。

必要に応じて、成年後見人に宛てた郵便物等の回送嘱託申立てを利用して、本人宛ての郵便物を後見人が期間限定で確保することもできます。

【3】家庭裁判所への報告

①定期報告

原則として1年に1回、家庭裁判所へ期限を指定されて提出を求められるのが、年次報告書です。基本的に成年後見人等の活動を報告しますが、初回報告の財産目録や収支予定表等と比較して、その異同について記載します。

②終了報告

本人の死亡から原則2か月以内に、家庭裁判所へ「成年後見人等事務終了報告書」を提出します。

おわりに

成年後見人等による財産管理は、被後見人が豊かな人生を送ることができるように、生活を維持・継続するためにきわめて重要な職務です。

成年被後見人の意思を尊重するとともに、本人の最善の利益を考慮しながら、適切な財産管理をしなければならないと思います。