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第2期成年後見制度利用促進基本計画の策定について

はじめに

成年後見制度は2000(平成12)年に施行しており、認知症や障がいによって財産管理及び日常生活に支障がある方々の法律行為を支える制度です。

しかし、この制度が十分に利用されていないため、成年後見制度の利用の促進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために、2016(平成28)年、成年後見制度利用促進法が成立し、2017(平成29)年度~2021(令和3)年度の5年間にわたる成年後見制度利用促進計画が閣議決定されました。

2021(令和3)年度は基本計画の最終年度となることから第2期の基本計画が検討され、

2022(令和4)年3月に2022(令和4)年度~2026(令和8)年度における第2期基本計画が閣議決定されたところです。

【1】成年後見制度利用の基本的考え方

成年後見制度の利用を促進するにあたっての基本的な考え方は、地域共生社会の実現に向けての権利擁護支援を推進することです。

地域共生社会とは、住み慣れた地域において、すべての住民が障がいの有無にかかわらず、本人らしい生活を継続できるように支えあえる社会です。

第2期基本計画では地域共生社会を実現するために、本人を中心とした権利擁護支援を位置づけた上で、地域連携ネットワークを充実させ成年後見制度利用促進の取り組みをさらに進めます。

成年後見制度利用促進法

(目的)

第1条 この法律は、認知症、知的障害その他の精神上の障害があることにより財産の管理又は日常生活等に支障がある者を社会全体で支え合うことが、高齢社会における喫緊の課題であり、かつ、共生社会の実現に資すること及び成年後見制度がこれらの者を支える重要な手段であるにもかかわらず十分に利用されていないことに鑑み、成年後見制度の利用の促進について、その基本理念を定め、国の責務等を明らかにし、及び基本方針その他の基本となる事項を定めること等により、成年後見制度の利用の促進に関する施策を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。

【2】成年後見制度の利用促進に向けた施策

成年後見制度の見直しと権利擁護支援の充実

ノーマライゼーションの理念を考慮しつつ、市町村長の関与、成年後見制度利用支援事業の見直しといった成年後見制度の見直しを検討する。

・日常生活自立支援事業から成年後見制度へ適切に移動できるようにするために、日常生活自立支援事業の体制強化を行うなど、福祉制度の見直しを検討する。

②本人らしい生活を継続するための成年後見制度の運用改善

・意思決定支援の取組が幅広い関係者や地域住民に浸透するよう、都道府県による研修、国による指導者育成、オンライン活用支援などに取り組む。

家庭裁判所による適切な後見人の選任や交代に努める。

・地域の実情に応じて苦情等への適切に対応する仕組みを整備する。

最高裁判所及び家庭裁判所は適切な報酬の算定について検討するとともに、関係省庁は報酬助成のあり方について検討する。

・不正防止のために後見人等に対する適切な監督に向けた取り組みが期待される。

・金融機関は後見制度支援預貯金の導入や改善を図ることが期待される。

・専門職団体・市民後見人支援団体には、適切な保険の導入が期待される。

【3】地域連携ネットワークづくり

権利擁護支援を必要としている人が、本人らしい生活を継続し地域社会に参加できるようにするため、地域・福祉・行政・司法といった多様な分野・主体が連携する仕組みが必要である。

①包括的・多層的なネットワークづくり

・地域社会への参加の支援のため様々な既存の仕組みだけでなく、地域における多様な分野・主体が関わる包括的なネットワークとすることが必要である。

・地域における包括的なネットワークに加えて、複数市町村単位や都道府県単位の多層的なネットワークとする取り組みが必要である。

②地域連携ネットワークづくりの進め方

・権利擁護支援に関する窓口を明確にして周知するとともに、権利擁護支援の理解の促進を図る。

・中核機関の役割を明確にする。

・権利擁護支援チームによる支援が適切に行えるような体制整備に、都道府県が主体的に取り組む。

おわりに

地域社会の中で、尊厳のある本人らしい生活を送ることができるように、福祉・行政・司法といった多様な関係者がチームとして本人の権利を擁護する支援ができるような体制づくりが進められています。

新しい第2期基本計画のもとで、さらに権利擁護支援の地域連携ネットワークづくりや成年後見制度の利用が進められることを期待します。