はじめに
建設業においては建設業法において、その目的が定められています。
第1条 この法律は、建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約の適正化等を図ることによって、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、建設業の健全な発達を促進し、もつて公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。
第1条の目的を達成するために、建設業の許可制度が確立されています。
許可制度の概要
①建設業許可の新規取得
(ア)2種類の許可・・・大臣許可と知事許可があります。
A、大臣許可とは、2つ以上の都道府県の区域内に営業所を設けて建設業を営む場合です。
B、知事許可とは、1つの都道府県の区域内に営業所を設けて建設業を営む場合です。
(イ)2つの許可区分・・・特定許可と一般許可があります。
A、特定許可とは、発注者から直接請け負う1件の建設工事の一部を下請けに外注する場合、下請代金の総額が4,000万円(建築工事にあっては6,000万円)を超えて下請け契約を結ぶ場合に受ける許可です。
B、一般許可とは、特定許可以外の場合に受ける許可です。
ただし、軽微な工事の場合は建設業の許可はいりません。軽微な工事とは、建設工事1件の請負代金が500万円(税込)に満たない工事、建築工事に関しては1,500万円(税込)に満たない工事、延べ面積が150㎡に満たない木造住宅工事のことです。
②変更等の届出
許可に係る建設業者は、毎事業年度終了の時における「工事経歴書」「直前三年の各事業年度における工事施工金額を記載した書面」その他国土交通省令で定める書類を、毎事業年度経過後4カ月以内に、国土交通大臣又は都道府県知事に提出しなければなりません。
許可取得後における変更届出書では次のような提出書類が求められています。
(1)工事経歴書 (2)工事施工金額 (3)貸借対照表及び損益計算書 (4)株主資本等変動計算書及び注記表 (5)事業報告書 (6)附属明細表 (7)法人税納付済額証明書 (8)所得税納付済額証明書 (9)使用人数 (10)建設業法施行令第3条に規定する使用人の一覧表 (11)定款 (12)健康保険等の加入状況
「経営事項審査」とは、公共工事を発注者から直接請け負おうとする建設業者が受けなければならない審査です。この審査は「経営状況分析」と「経営規模、技術的能力その他の客観的事項(「経営規模等評価」という)」について数値により評価されます。
「経営状況分析」については、国土交通大臣が登録した経営状況分析機関が行います。
申請をして審査を受けた場合、経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書として結果が通知されます。
④工事入札参加資格審査
公共工事の各発注機関は、競争入札に参加しようとする建設業者についての資格審査を行うこととされており、発注機関は欠格要件に該当しないかどうかを審査したうえで、客観的事項と主観的事項の審査結果を点数化し、順位付け、格付けをしています。
A,客観的事項の審査について
「経営事項審査」のことです。
B,主観的事項について
地域の実情を踏まえ、地域における実績や地域貢献などを発注者が独自に審査します。
おわりに
公共工事を請け負う業者は、許可を受けた後も様々な審査を行うことで、初めて入札の参加資格を得ることができます。多額の税金によって工事が行われるのですから、当然なことなのですが、業者にとっても厳しい審査をクリアしているということはコンプライアンス上、大きなメリットがあるのではないかと思いました。