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エンディングノートについて

はじめに

近年、終活という言葉をよく聞きます。

団塊の世代が75歳を迎えてきており、人生の終盤について関心を寄せる方が増加してきたことも背景にあるのではないでしょうか。

エンディングノートは終活を考える場合に、家族への思いや遺産について書き記しておくものです。

 

エンディングノートとは

自分の死後の事柄について書き残しておくものには遺言書があります。エンディングノートも自分の死後のことについて書き記しておくものなのですが、エンディングノートと遺言書の決定的な違いは、法的効力があるかないかです。

どちらも遺産相続などについて書き記しておくことができますが、遺言書は法的な効力がありますが、エンディングノートには法的な効力はありません。

法的効力のないエンディングノートに、いくら自らの死後のことについて書き記しても、自分の希望が叶うわけではありません。

ただ、自分の思いをメッセージとして関係者に伝えることはできます。

 

エンディングノート作成の目的

法的な効力のないエンディングノートをなぜ作成するのか、次のような点が考えられます。

①家族の負担減

本人の判断力が衰え意思表示ができなくなった時、どのような介護を希望するのか、延命治療をどうするのか、どのような葬儀をおこない費用はどうするのかといったことが明記されていれば、家族が選択をする際に参考になります。

 

②自分の経済状況を理解

自分の資産を正確に記入することで、現在およびこれからの経済状況を把握できます。老後の生活設計をどうするのかを考える基礎になるものです。

さらに資産は遺産相続にも関わってきます。遺産はプラスのものだけでなく、借金のようなマイナスのものもあるので、正確に把握しておきます。

 

③残りの人生と向き合う

エンディングノートを書くことは、遺された家族のためだけでなく、自分の人生を見つめ直し考えるきっかけとなります。

残りの人生を充実したものにするために、立ち止まってこれまでの人生を振り返り、これからの人生を考えることができます。

 

自治体の取り組み

自治体独自のエンディングノート発行

近年、あちこちの地方自治体がエンディングノートを発行しています。

福祉や高齢者を支援する課が担当となり市町村が独自に作成しているため、内容や書き方、ページ数などはそれぞれに異なっています。

要点を絞ってシンプルに書かれているようですが、地域情報や相談窓口の案内等も掲載されています。

介護が必要になった場合の地域包括支援センター情報、医療が必要な場合の病院情報など、実際に困った時にすぐ相談できる先が掲載されていたりします。

また、無料配布を実現するために地域の企業の広告を掲載していることもあります。

 

自治体が発行する理由

市町村がエンディングノートを独自に作成して配布するのには、次のような理由があると考えられます。

*空き家対策

相続人がいないために空き家となる不動産が増加傾向にあります。このような空き家が発生した場合、最終的に自治体が関与して解決していかなければなりません。空き家の発生を未然に防ぐために、生前から所有不動産について考えておいてもらいたいということです。

 

孤独死対策

故人に身寄りがない場合の葬儀や遺品整理についても自治体が関与しなくてはならないことがあります。死後の事務手続きについても、生前に考えておいてもらいたいということです。同様に、自治体で費用や人員を負担しています。

 

エンディングノート自治体にとっては最終的に自治体の負担とならないようにするという理由もありますが、本来の目的は高齢者が生き生きと社会で前向きに活躍できるようにサポートする一環だと思います。

 

エンディングノートの内容

書き込む項目が決まっているわけではありませんが、例えば次のようなものがあります。

 

ア、基本情報(氏名、生年月日、住所、本籍地、電話番号、メールアドレス、健康保険証やパスポートの番号など)

イ、過去のこと(自分史、年表など)

ウ、現在のこと(好きなもの、趣味など)

エ、健康状態(かかりつけ医や常用薬、アレルギー等)

オ、もしもの時のこと

介護が必要な時のこと、医療が必要な時のこと(告知・延命処置・終末医療など)、判断能力が低下した時のこと

カ、葬儀の希望

キ、お墓の希望

ク、相続の希望(遺言書など)

ケ、大切な人

家系図・ペットのこと・家族や親族などへのメッセージ

コ、資産のこと

サ、未来のこと(これからやりたいこと、目標など)

 

おわりに

エンディングノートを書く場合、書いている本人は、自分だけでなく家族を含めた周りの人のことを考え、その人たちとコミュニケーションをとりながら記していくことが大切です。

そうすることによって、改めて、自分の周りを取り巻く人たちに自分のことを理解し、知ってもらえることに繋がります。

それこそがエンディングノートを記す意味ではないでしょうか。