民泊新法では「住宅宿泊事業者」「住宅宿泊管理業者」「住宅宿泊仲介業者」という3つのプレーヤーが位置付けられています。
①「住宅宿泊事業者」とは
住宅宿泊事業者とは、都道府県知事に届出をして住宅宿泊事業を営む者で、年間提供日数は180日以内とされています。
(A)住宅宿泊事業の適正な遂行のために行う措置
(ア)宿泊者の衛生の確保
*居室の床面積は、1人当たり3,3㎡以上
(イ)宿泊者の安全の確保について
*非常用照明器具を設けること
*避難経路を表示すること
*災害が発生した場合の安全の確保
(ウ)外国人観光旅客の快適性及び利便性
*外国語により設備の使用方法の案内をすること
*外国語により交通手段の情報を提供すること
*外国語により災害が発生した場合の案内をすること
(エ)宿泊者名簿について
本人の確認、三年間保存、氏名・住所・職業及び宿泊日の記載、外国人は国籍及び旅券番号を記載すること
(オ)周辺地域への悪影響の防止
宿泊者に対して適切な方法により、騒音の防止、ごみの処理、火災の防止のために配慮すべき事項について説明をしておく必要があります。
(カ)苦情等への対応について
周辺住民からの苦情及び問合せについては適切かつ迅速に対応すること。
(B)住宅宿泊管理業者へ委託する場合
次の場合には、上記(ア)~(カ)を住宅宿泊管理業者に委託しなければなりません。
*1つの届出住宅の居室の数が5を超える場合
*人を宿泊させている間に、不在となる場合
(C)住宅宿泊仲介業者への委託
住宅宿泊事業者は、契約の代理又は媒介を他人に委託するときは、登録を受けた住宅宿泊仲介業者又は旅行業者に委託しなければなりません。
(D)標識の掲示について
届け出ている住宅ごとに、標識を掲げておく必要があります。
(E)都道府県知事へ定期報告
届け出ている住宅ごとに、次の項目について都道府県知事に報告しなければなりません。
*届け出ている住宅に人を宿泊させた日数
*宿泊者数
*延べ宿泊者数
*国籍別の宿泊者数の内訳
②住宅宿泊管理業者とは
住宅宿泊管理業者は、国土交通大臣の登録を受けて住宅宿泊事業者からの委託によって住宅宿泊管理業務を行います。
住宅宿泊管理業の適正な遂行のための措置をとる必要があります。
(ア)誇大な広告の禁止
(イ)不当な勧誘等の禁止
(ウ)管理受託契約の書面の交付義務
*国土交通省が標準的な管理受託契約書を策定しています。
(エ)住宅宿泊管理業務の再委託の禁止
(オ)責任ある住宅宿泊管理業務の実施
(カ)証明書の携帯
*従業者に従業者証明書を携帯させなければいけません。
(キ)帳簿の備付け
営業所又は事務所ごとに業務に関する帳簿を備え付けておきます。
(ク)標識の掲示について
登録を受けた営業所又は事務所ごとに、公衆の見やすい場所に、標識を掲げる必要があります。
(ケ)住宅宿泊事業者への定期報告
住宅宿泊事業者に対し、管理状況等について報告を行う必要があります。
③住宅宿泊仲介業者とは
旅行業者以外の者が住宅宿泊仲介業務をするために、観光庁長官の登録を受けて住宅宿泊仲介業を営む者です。
登録は5年ごとに更新を受ける必要があります。
(1)宿泊者のために宿泊サービスを受けることについて、代理して契約します。
(2)住宅宿泊事業者のために届出住宅における宿泊のサービスの提供について、代理して契約します。
住宅宿泊仲介業者の義務
(1)住宅宿泊仲介業約款について
住宅宿泊仲介業者は住宅宿泊仲介業約款を定めて観光庁長官へ届け出、公示をしておく必要があります。
(2)料金の公示について
国土交通省令で定める基準に従い、仲介業務に関する料金を公示しておく必要があります。
(3)不当な勧誘等の禁止について
住宅宿泊仲介業者は、次に掲げる行為をしてはいけません。
・宿泊者に対し、故意に事実を告げず又は不実のことを告げてはいけません。
(4)違法行為のあっせん等禁止について
(5)住宅宿泊仲介契約の締結前の書面の交付について
住宅宿泊仲介業者は、宿泊者に対して書面を交付して説明します。
・住宅宿泊事業者の商号、名称又は氏名及び届出番号
・宿泊者が宿泊する届出住宅
・支払うべき対価、報酬、支払の時期、方法
・宿泊サービスの内容
・責任及び免責に関する事項 等
(6)標識の掲示について
住宅宿泊仲介業者は、その営業所又は事務所ごとに、公衆の見やすい場所に、国土交通省令で定める様式の標識を掲げる必要があります。
ただし、登録年月日、登録番号等をネットによって公示する場合、標識の提示義務は適用されません。
《参考》観光庁