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障がい者と成年後見

はじめに

障がいのある子どもさんがいる親にとって、親亡き後の子どもの暮らしは最も気になるところです。世話をする親がいなくなった後、あるいは親が世話をすることができなくなった後、誰かが子どもの暮らしを支えていくための方策として、成年後見制度が考えられます。

障がい者成年後見制度をどのように考えればよいのでしょうか。

障がいの程度も多様なので、それによって対応も違ってきます。

なお、民法改正によって2022(令和4)年4月より、成年は18歳からとなっています。

【1】障がい者と後見制度

①重度の障がいがある成年の場合

重い障がいのため、自分の名前が言えない、お金をどうするか聞かれても答えられないといった判断力に欠けている場合は、法定後見を選択することが考えられます。

法定後見の場合、財産を巡って親族内の対立が生じやすいため、親族が後見人にはなれない傾向があるようです。

しかし子ども名義の財産を整理しておけば、本人の財産が少ないので第三者ではなく親族が選任されることも考えられます。

②重度ではない障がいがある成年の場合

自分の名前が言える、お金を誰それに頼みますかと聞かれて、ハイと返事ができるといった状態の場合、任意後見契約が考えられます。

任意後見契約は公正証書でしなければならないので、公証役場で公証人と本人が面談の上、任意後見契約公正証書が作成されます。公証人次第で、重度ではない障害のある成年でも契約が成立することがあります。

「任意後見受任者」(「任意後見人」とも言います)は、親族や友人等を含め、成人であれば原則として誰でもなれます。

任意後見と併せて、遺言を書き残しておくことも考えられます。

③重度の障がいがある未成年の場合

未成年の場合、親に親権があるので親が子を代理して、親の希望する人(親族や友人等を含め、成人であれば原則として誰でも)と任意後見契約を結ぶことができます。

任意後見の場合、契約を結べばすぐに有効となるわけではありません。家庭裁判所に後見監督人を申し立てて、後見監督人が選任されて初めて効力が生じ、任意後見人の後見事務が開始されることになります。

④重度ではない障がいがある未成年の場合

親には親権があり、また子供の自己決定権を侵害することも考えられるので、特に何かをする必要があるわけではありません。

【2】後見人の必要性

認知症だから、障害があるからといって成年後見制度を利用しなければならないわけではありません。

判断能力が十分でない高齢者や障がいのある人に対して、後見人が求められるのは、施設入所や入院・相続・金融関係の整理などの場合が考えられます。

しかし相手側が後見人を必要としない場合には、後見は不必要ということです。

当事者の判断によって必要性のあるなしが決まってくるので、成年後見制度を利用するかどうかは、よく考えて判断することが大切です。