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入管法とその行政(2)~出入国管理と在留管理の基本~

【1】出入国管理

①外国人の入国と上陸

外国人が日本の領域に入ることを「入国」、日本の領土に入ることを「上陸」といいます。

入管法は、外国人が入国することについては許可を求めていませんが、上陸する場合には許可が必要としています。

入国管理上で重要なのは、外国人が日本の領域に入った後に、上陸を認めるか否かということです。

領域とは国家の主権下にある区域で、領土・領水・領空からなります。

②上陸許可

上陸許可には証印又は許可(一般上陸許可)と特別上陸許可の2種類があります。

一般上陸許可には、在留外国人が再入国許可を受けて出国する、再入国上陸許可というのもあります。

特別上陸許可とは、船や飛行機に乗っている外国人が観光などのために短期上陸する場合や緊急事態が生じた場合に対応するものです。

③日本人の帰国

日本人が日本の領域に入る移動は帰国となります。

④外国人の出国

外国人が日本の領域から出ることは出国となります。

犯罪に係る訴追や逮捕状が発せられている等の外国人については、出国の確認を留保することができます。

⑤日本人の出国

日本人が日本の領域から出ることは出国です。

日本人も外国人と同様に犯罪に係わっている者などに対する国外逃亡防止が図られています。

【2】外国人の在留管理

外国人の受入れは、日本の安全・安心を確保しながら、経済・社会の発展に資する観点から行われます。

①受け入れた外国人が受け入れた趣旨にかなう活動をし、安心・安全を脅かす行為を防止するために、入管法に基づく在留期間の更新許可制度によって確保します。

②国内において出生した者、国内において日本の国籍を離脱した者は上陸許可を受けることなく在留することとなり、国内における外国人の受入れとなります。

③外国人の受入れが、長期的に日本の経済・社会の発展に資するためにも、外国人が安定した生活ができるような環境整備が必要となるため、様々な関係機関の連携が必要となります。

【3】公正な出入国・在留管理

①受入れの対象ではない外国人が不法滞在、偽装滞在の手段によって在留する場合がある。

必要な許可を得ることなく在留するのが不法滞在、不正な手段で許可を受けて在留するのが偽装滞在です。

②在留の打ち切り

違法な手段による在留に対しては、各種罰則、在留資格の取り消し制度、退去強制制度、出国命令制度が定められています。

(ア)不法・偽装による滞在者の在留打ち切り

(イ)在留継続や新たな目的での在留が認められなかったものに対する在留の打ち切り

(ウ)不法滞在・偽装滞在を助長するといった者の入国・在留の拒否

③在留状況の把握

在留管理を適切に実施するためには、外国人の在留状況を正しく把握する必要があります。

観光や出張による外国人のことを短期滞在者、中長期にわたって日本で居住する外国人を中長期滞在者といいます。

中長期滞在者は、入管法では「外交」「公用」又は「短期滞在が決定された者、3月以下の在留期間が決定された者及びこれらに準ずる者として法務省令で定める者以外の外国人」とされています。

近年、増加している中長期滞在者が、日本の経済・社会の発展に資するためには、安定した生活を営むことができる環境整備が大切です。

そのため、必要な行政サービスが受けられるように身分関係や居住関係などが公的な文書で証明されることが必要です。

そして中長期在留者には身分事項、住居地、在留資格等を記載した「在留カード」が交付されています。

また、住民基本台帳法で中長期在留者を外国人住民とした住民基本台帳制度が構築されています。