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入管業務に関する職務倫理

はじめに

入管業務は行政書士の業務の一つとして大切な分野です。

多くの外国人が留学や就労等のために来日している現代において、スムーズな入管関係手続が行われることが重要です。

行政書士が業務として、その一端を担っているわけですが、残念ながら不正に関与している事件が存在しています。

行政書士が関連する入管業務を適正に行うことが、行政書士の信頼を高め、ひいては行政書士法の目的である「国民の権利利益の実現に資する」ことになります。

職務倫理に関する事例

(ア)他士業法違反

外国人の依頼を受け、無資格で会社設立登記申請をした司法書士法違反。

(イ)偽装結婚

虚偽の婚姻届を提出しことによる電磁的公正証書原本不実記録によって逮捕された。

偽装結婚あっせんブローカーから報酬を得て、組織犯罪処罰法違反の犯罪収益収受に問われた。

(ウ)不法就労

不法就労をしている外国人に在留資格を取得させるため、虚偽の申請書を作成・提出したとして入管難民法の虚偽申請の疑いで逮捕された。

(エ)偽装就労

食品会社で働かせているのに翻訳・通訳業務をしているとする虚偽の書類を提出した疑いで逮捕された。

届出済行政書士に係る遵守要綱

行政書士としての品位保持・信頼確保

申請先の行政職員への冷静な対応、依頼者の立場への理解、時には依頼を断る勇気が必要です。

法令遵守

業務記録の作成、「在留カード」等の依頼者から預かったものに対する責任、しっかりした本人確認、守秘義務があります。

③関係法令の理解と研鑽

④円滑な入管行政への寄与

入管手続きや申請といった事務手続きの依頼者への周知・説明

⑤申請取次制度の目的に資すること

申請に関する書類を的確に作成し提出することで、スムーズな入管行政事務の一助となります。

⑥適切な報酬

あらかじめ報酬を説明することで適正かつ妥当なものとして了解を得ておきます。

⑦不正行為には関与しない

行政書士は正当な理由がある場合でなければ、依頼を断ることはできませんが、信頼関係が回復困難な程度に破壊された(依頼者が法令の定めに従わない、重大な虚偽のせつめいがあった等)場合は、契約を解除することができます。

依頼者が反社会的勢力に該当する場合にも契約を解除することがあります。

⑧依頼者からの虚偽・実態のない書類であることを知りながら提出しない

許可を受けさせることを目的として、資料の内容が偽りであることを知りながら提出しないこと。受任拒否を検討すべき事項です。

⑨申請内容に係わる虚偽説明をしない

虚偽記載だけでなく、意図的な記載漏れや誤記載をしてはいけません。

⑩第三者を介した依頼を受けない

依頼者本人と面談等をすることで本人確認を怠らないようにします。

三者を介した場合、本人の意思とズレる危険性があり、第三者に説明することは守秘義務違反となります。

ブローカーであった場合には不法行為につながる恐れがあります。

おわりに

入管業務における行政書士への信頼を守り、高めるためにも法令を遵守することは当然とした上で、職務倫理を意識しながら業務を果たすことが大切であると思います。