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後見の終了について

はじめに

民法では、後見人が欠けたとき、辞任したとき、解任されたとき、家庭裁判所が必要があると認めるときには新たな後見人が選任されることになっています。したがって、これらの事態が生じない限り後見人を務めるということなので、結局、原則的には本人が死亡するまで後見が行われるということです。

【1】後見事務の終了

後見が終了するのは、被後見人が死亡したとき及び本人の判断能力が回復したとき、とされています。

死亡すれば後見は終了といっても、現実的にはさまざまな死後の事務手続きがあります。家族関係が複雑であったり、親族がいない場合には、死亡時の立ち合い、遺体の引き取り、死亡届の提出、葬儀、医療費や施設使用料の支払いなどを行うことがあります。

後見人の権限外のことですが、家庭裁判所をはじめとした関係者と連絡を取りながら死後の処理をする場合が生じるようです。

【2】家族・親族への通知

被後見人が家族・親族と何らかの事情があるために疎遠であった場合でも、本人の死亡の事実を通知することは重要です。その上で、葬儀は家族・親族が執り行うものですが、家族・親族が葬儀等に関わらない場合には、関係者と連絡の上で処置していくこととなります。

民法873条の2には成年被後見人の死亡後、相続財産の保存や債務の弁済、家庭裁判所の許可を得ての火葬又は埋葬について成年後見人の権限としています。

第873条の2 成年後見人は、成年被後見人が死亡した場合において、必要があるときは、成年被後見人の相続人の意思に反することが明らかなときを除き、相続人が相続財産を管理することができるに至るまで、次に掲げる行為をすることができる。ただし、第三号に掲げる行為をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。

一 相続財産に属する特定の財産の保存に必要な行為

二 相続財産に属する債務(弁済期が到来しているものに限る。)の弁済

三 その死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結その他相続財産の保存に必要な行為(前二号に掲げる行為を除く。)

【3】家庭裁判所への報告

(1)本人が死亡した場合

①後見人等が相続人の場合

(ア)2週間以内に、家庭裁判所へ死亡診断書又は除籍謄本のコピーを添えて連絡する。

(イ)東京法務局後見登録課に終了陶器の申請をする。

②後見人等が相続人でない場合

(ア)2週間以内に、家庭裁判所へ死亡診断書又は除籍謄本のコピーを添えて連絡する。

(イ)2か月以内に、相続人に引き継ぐ財産を確定します。

(ウ)6か月以内に、本人の財産を相続人に引き継ぎ、家庭裁判所へ引継書を提出します。相続人への引継ぎが困難な場合は、家庭裁判所や後見監督人と相談し、判断を仰ぎます。

(2)未成年が成人した場合

未成年者が成人したとき、または婚姻したときは未成年後見は終了します。

(ア)10日以内に市区町村役場に後見終了届を提出します。

(イ)結婚したときは、連絡票及び新しい戸籍を家庭裁判所に提出します。

(ウ)2か月以内に、財産の計算をして本人に引き継ぎます。その際、後見監督人の立ち合いが必要です。

(エ)引継書を家庭裁判所に提出します。

おわりに

後見事務の終了は本人の死亡のときですが、その後、財産を相続人に引き継ぐまでの間にも、しなければならない事務的な事柄が多くあります。

終了したから、後見人としての権限がないからといって終わりというわけにはいかない場合もあるので、関係者と協議をしながら被後見人の人生の終焉を整えることも大切なことだと思いました。