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不動産鑑定について

【1】不動産鑑定とは

国土交通省の土地鑑定委員会が定めている「不動産鑑定評価基準」に基づいて、不動産鑑定士が不動産の経済価値を評価することです。

【2】価格形成要因

不動産価格に与える要因を価格形成要因といいますが、大きく分けて①一般的要因②地域要因③個別的要因の3つに分類されます。

①一般的要因

一般社会における不動産のあり方、価格水準に影響を与える自然的・社会的・経済的・行政的要因のことです。

②地域要因

宅地地域、農地地域、林地域といった地域の種別や街路・交通・環境・行政的条件がどのような地域であるのかといった要因のことです。

③個別的要因

宅地・農地・林地等の土地の種別、更地・建付地・借地・底地等といった土地の類型、街路・交通・環境・行政的条件がどのような画地であるのかといった要因のことです。

【3】鑑定評価の方法

①原価法②取引事例比較法③収益還元法の3つの手法を基にして試算価格(積算価格・比準価格・収益価格)を算出し、関連する事項を加味して調整したうえで、最終の鑑定評価額を決定します。

①原価法

費用性に着目した手法で、対象となる不動産を再建築した場合の再調達原価(新品の経済価値)を算出し、これに原価修正を施して積算価格を出します。

再調達価格−原価相当額=積算価格

②取引事例法

市場性に着目した手法で、過去に行われた多くの売買取引の実例との比較から、対象となる不動産の価格を求め、比準価格を出します。

事例価格×事情補正×時点修正×標準化補正(土地形状等の補正)×地域格差

=対象地における標準的土地価格×個別格差(角地等の考慮)

=対象地の価格(比準価格)

③収益還元法

収益性に着目した手法で、対象不動産が将来、生み出すであろう収益をベースにして対象不動産の収益価格を出します。

年間利益(年間家賃収入−年間経費)÷還元利回り=収益価格

【4】相続税路線価、固定資産税路線価との関連

相続税路線価

土地の相続税贈与税の基礎となり、7月に国税庁より公表されます。路線に面する標準宅地の1㎡あたりの価格で、地価公示価格等の80%を目安としています。

②固定資産税路線価

固定資産税、不動産取得税、登録免許税などの不動産関連税の基礎となり、4月に市町村より公表されます。路線に面する標準宅地の1㎡あたりの価格で、地価公示価格等の70%を目安としています。

③各種画地補正

路線価は標準地を選定しているので、各個人の宅地の評価額を求めるためには各種画地補正を行います。

各種画地補正とは、奥行き、角地、二方道路、不整形地、間口狭小といった土地の個別状況を検討することです。

路線価×各種画地補正×土地面積=相続税及び固定資産税評価額

一般の不動産鑑定における各種画地補正は国土交通省通知に基づく「土地価格比準表」を参考にして、個別的要因の補正という形で行われています。

おわりに

不動産は一つとして同じものはなく、その適正価格を算出することは難しいものですが、様々な手法を駆使して適正な目安を算出する工夫がなされています。

不動産価格は、多岐にわたる分野に関連する基礎的なものなので、きちんとした鑑定評価をするための様々な手法がとられていると思いました。