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認可地縁団体と私道

はじめに

自治会とか町内会といった地域社会の団体は地方自治法では「地縁による団体」とされており、「権利能力なき社団」との位置づけでした。

総務省の資料では、平成25年の段階で全国に約30万の自治会や町会などがあるとされています。

1991(平成3)年の地方自治法改正によって、自治会等が市町村長の認可を受けた場合に「認可地縁団体」となって法人格を取得し、不動産の登記名義人となる制度ができました。

「認可地縁団体」が私道を所有するので、住民が自分たちで維持管理をできるということです。

法改正によって、平成25年には4万4千団体の認可地縁団体があります。

 

趣旨

自治会等が保有する不動産については、自治会等の名義で登記できなかったことから自治会長等の名義で登記されていました。

このため、登記名義者が変わるたびに変更登記をする必要があったり、登記名義人が死亡した場合に相続の問題が生じてしまったりという様々な問題が発生していました。

こうしたことから1991(平成3)年に地方自治法が改正され、認可地縁団体制度が設けられました。

 

第260条の2 町又は字の区域その他市町村内の一定の区域に住所を有する者の地縁に基づいて形成された団体(以下本条において「地縁による団体」という。)は、地域的な共同活動のための不動産又は不動産に関する権利等を保有するため市町村長の認可を受けたときは、その規約に定める目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う。

 

認可の要件

総務省の概要説明によると、以下の要件を満たしている場合に認可されます。

 

① その区域の住民相互の連絡、環境の整備、集会施設の維持管理等、良好な地域社会の維持及び形成に資する地域的な共同活動を行うことを目的とし、現にその活動を行っていると認められること

② その区域が、住民にとって客観的に明らかなものとして定められていること

③ その区域に住所を有する全ての個人は、構成員となることができるものとし、その相当数の者が現に構成員になっている

こと

④ 規約を定めていること

※ 規約に定める事項(法律で義務付けられているもの)

目的、名称、区域、事務所の所在地、構成員の資格に関する事項、代表者に関する事項、会議に関する事項、資産に関する事項

 

認可の対象とならない団体

不動産の権利を有する予定のない団体、老人会・青年会やスポーツ活動・環境美化活動を目的とした団体は認可対象ではありません。

 

おわりに

認可地縁団体を設立するには、こまごまとした手続きや運営が必要なので、検討する場合は、事前に役所で相談することが必要でしょう。

不動産の登記が出来るので、私道の所有を目的として住民が認可地縁団体を結成することができるようなので、私道の維持管理や権利関係の複雑さといった問題を解決する一助になるのではないでしょうか。