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裁判外紛争解決手続(ADR)とは

はじめに

裁判によらずにトラブルを解決する方法に、「仲裁」「調停」「あっせん」などがあります。

裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律」では、「訴訟手続によらずに民事上の紛争の解決をしようとする当事者のため、公正な第三者が関与して、その解決を図る手続」というものとしています。

「仲裁」というのは、あらかじめ当事者が第三者である仲裁人の判断に従うことを合意した上で紛争の解決を図ります。

「調停」というのは、裁判で決めるのではなく話合いによってお互いが合意することで紛争の解決を図ります。

「あっせん」というのは、主に労働分野において労使双方の利害を調整し紛争の解決を図ります。

裁判外で紛争を解決する手続きを、英語では「Alternative Dispute Resolution」といい、頭文字をとってADRといわれています。

 

裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律」の成立

平成13年の司法制度改革を審議する会で、ADRが裁判と並ぶ選択肢になるように拡充し活性化を図ることが提言され、平成19年に「裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律」として成立しました。

この法律によって、法務大臣が認証した民間事業者が紛争解決のサービスを提供することのできる認証制度が創設されました。

 

第1条 この法律は、内外の社会経済情勢の変化に伴い、裁判外紛争解決手続(訴訟手続によらずに民事上の紛争の解決をしようとする紛争の当事者のため、公正な第三者が関与して、その解決を図る手続をいう。以下同じ。)が、第三者の専門的な知見を反映して紛争の実情に即した迅速な解決を図る手続として重要なものとなっていることに鑑み、裁判外紛争解決手続についての基本理念及び国等の責務を定めるとともに、民間紛争解決手続の業務に関し、認証の制度を設け、併せて時効の完成猶予等に係る特例を定めてその利便の向上を図ること等により、紛争の当事者がその解決を図るのにふさわしい手続を選択することを容易にし、もって国民の権利利益の適切な実現に資することを目的とする。

 

行政書士会におけるADR

裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律」によって弁護士会司法書士会、土地家屋調査士会など、さまざまな団体がADRの認証を受けています。

行政書士会も都道府県単位で認証を受けて、ADRセンターを開設して調停手続きを行っています。

 

ADRにおける調停手続きとは

中立で公正な調停人が当事者の間に入り、双方の言い分を十分に聴いた上で、お互いに納得できる解決策を一緒に考えて合意を形成する手続のことです。

裁判とは違い、当事者の対話によって解決を図ることを目指します。

 

ADR利用のメリット

〇手続きや時間について当事者の意向に応じた柔軟な対応となります。そのため紛争解決に要する時間を短縮することができ、費用負担も軽く済むことができます。

〇簡単な申込書に記入するだけなので、手続きが簡単です。

〇紛争について専門的な知識を持った担当者がお手伝いします。

〇解決までの過程は非公開で行われ、当事者のプライバシーも保護されます。

 

ADRの特徴

ADR法は、認証を受けたADR機関を利用した場合に時効中断効を認め、ADR手続の利用中に時効が完成してしまうことのないように、安心してADR手続を利用できます。

 

行政書士会のADRセンターで取り扱う分野

あらゆるトラブルに対応しているわけではなく、日常の身近なトラブルとして認められているものを取り扱います。

《例》

・外国人の職場環境・教育環境に関するトラブル

・自転車事故に関するトラブルに関するトラブル

・ペットに関するトラブル

・賃貸住宅の敷金返還・原状回復に関するトラブル etc

 

おわりに

人々の困りごとを解決するためのサポートを、身近な街の行政書士が行っています。

お互いに納得できるように、第3者として話を聞きながら解決策を見出していくことが行政書士ADRです。

対立がエスカレートして裁判となる前の段階で解決できれば、社会的にも大きな役割を果たすことになると思います。

詳しくは、各都道府県の行政書士会にお問い合わせください。