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輸出用清酒製造免許について

はじめに

輸出用清酒製造免許制度は、令和2年度の税制改正により「日本酒」の輸出拡大に向けた取組を後押しする観点から新たに設けられました。

 令和3年4月から免許の申請が可能となっており、早速、免許を新たに取得した酒造メーカーのニュースが放送されていました。

 

酒税法

酒類の製造免許については、酒税法第7条第2項において、種類の品目別に1年あたりの最低製造見込数量が定められています。免許を取得して、1年間に製造しようとする見込数量がこれに達しない場合は、免許を受けることができません。

酒税法の改正によって第7条第3号5の「輸出するために清酒を製造しようとする場合」が規定されたことで、第7条第2項1の「清酒 六十キロリットル」なければならないという数量制限が撤廃されました。

 

酒類の製造免許)

第7条 酒類を製造しようとする者は、政令で定める手続により、製造しようとする酒類の品目別に、製造場ごとに、その製造場の所在地の所轄税務署長の免許を受けなければならない。ただし、酒類の製造免許を受けた者が、その製造免許を受けた製造場において当該酒類の原料とするため製造する酒類については、この限りでない。

2 酒類の製造免許は、一の製造場において製造免許を受けた後一年間に製造しようとする酒類の見込数量が当該酒類につき次に定める数量に達しない場合には、受けることができない。

一 清酒 六十キロリットル

二 合成清酒 六十キロリットル

三 連続式蒸留焼酎 六十キロリットル

四 単式蒸留焼酎 十キロリットル

五 みりん 十キロリットル

六 ビール 六十キロリットル

七 果実酒 六キロリットル

八 甘味果実酒 六キロリットル

九 ウイスキー 六キロリットル

十 ブランデー 六キロリットル

十一 原料用アルコール 六キロリットル

十二 発泡酒 六キロリットル

十三 その他の醸造酒 六キロリットル

十四 スピリッツ 六キロリットル

十五 リキュール 六キロリットル

十六 粉末酒 六キロリットル

十七 雑酒 六キロリットル

3 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。

一 清酒の製造免許を受けた者が、その製造免許を受けた製造場において、単式蒸留焼酎又はみりんを製造しようとする場合

二 連続式蒸留焼酎又は単式蒸留焼酎の製造免許を受けた者が、その製造免許を受けた製造場において、みりんを製造しようとする場合

三 果実酒又は甘味果実酒の製造免許を受けた者がブランデーを製造しようとする場合

四 試験のために酒類を製造しようとする場合

五 輸出するために清酒を製造しようとする場合

六 一の製造場において清酒及び合成清酒を製造しようとする場合で、製造免許を受けた後一年間におけるその製造見込数量の合計が六十キロリットル以上であるとき。

七 一の製造場において連続式蒸留焼酎及び単式蒸留焼酎を製造しようとする場合で、製造免許を受けた後一年間におけるその製造見込数量の合計が六十キロリットル以上であるとき。

八 前各号に準ずる場合として政令で定める場合

 

免許制度について

 輸出用清酒製造免許制度の新設により、輸出用に限って清酒の最低製造数量基準(60キロリットル)を適用しないこととされました。これにより、海外向け商品として付加価値の高い商品を少量から生産できるようになり「日本酒」ブランドの価値向上を図ることができるとされています。

 

輸出用清酒製造免許の概要

海外におけるブランド価値向上等を目的として設けられたことから、米及び米こうじに国内産米のみを用いて国内で製造、容器詰めしたものに限ります。

輸出用清酒製造免許による清酒は、輸出するために製造するものなので、原則として国内に移出することはできません。

ただし次の場合、無償で提供するものについては、輸出するために必要な行為であるとされることから、国内への課税移出が可能とされています。

・ 国内で開催される輸出のための商談会等に使用する場合

・ 商社等の輸出業者へサンプルとして提供する場合

国税局が実施する品質審査等に提出する場合

 

酒類製造免許の要件

・人的要件~法令違反や滞納による処分歴がないこと

・場所的要件~製造場が、酒場、旅館、料理店等と同一の場所でないこと

・経営基礎要件~経営基盤がしっかりしており、食品等を輸出した経験があることや輸出先を確保していること

・製造技術・設備要件~一定水準の品質の酒類を継続的に供給することができる製造設備が整っていること

 

以上のような、さまざまな要件があります。

 

おわりに

世界でブームになっている日本酒の輸出を増やすために、規制を緩和して小規模事業所でも日本酒を製造できるような仕組みが出来ました。

免許の取得にはかなりハードルが高いと思われますが、個性あふれる日本酒が次々と生産されて輸出される日が訪れることを願っています。

 

《参考》国税庁HP「輸出用清酒製造免許の取得をご検討の方へ」

https://www.nta.go.jp/taxes/sake/menkyo/seishuseizo/index.htm