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定期賃貸借契約について

①定期建物賃貸借契約とは

定期建物賃貸借は、契約で定めた期間が満了することにより、更新されることなく、確定的に賃貸借契約が終了する制度です。

普通建物賃貸借では、正当の事由がない限り賃貸人からの更新拒絶はできません。

定期建物賃貸借契約は、契約で定めた期間が満了することにより、確定的に契約は終了しますが、賃貸人及び賃借人の双方で合意すれば、改めて再契約をすることはできます。

 

②定期建物賃貸借契約の締結について

定期建物賃貸借契約は、[1]契約期間を定め、[2]公正証書などの書面により契約を締結し、[2]賃貸人が契約書とは別に、契約の締結前に事前説明文書を賃借人に交付し事前説明を行うことが必要です。

*契約は書面により行いますが、必ずしも「公正証書」である必要はありません。

 

③事前説明について

契約の更新がないこと、期間の満了により借家関係が確定的に終了すること、契約の終了年月日などを記載した書面によって説明する必要があります。

 

④誰が説明するか

「重要事項説明」は宅地建物取引業者が行うものです。

「定期建物賃貸借契約を結ぶ前に書面を交付して行う説明」は賃貸人自らが行うものであり、説明すべき主体が異なります。

ただし仲介者(宅地建物取引業者)が賃貸人の代理人として「定期建物賃貸借契約を結ぶ前に書面を交付して行う説明」をすることが可能です。

 

⑤賃借人からの中途解約

居住の用に供する建物で床面積が200㎡未満のものについては、やむを得ない事情により、賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となった場合、1か月前に申入れを行うことにより解約することができます。

これより長い中途解約の申入れ期間を特約で設けるなど、賃借人に不利な特約は無効となります。

 

⑥期間の満了による賃貸借の終了

賃貸人は賃借人に対し、期間の満了により定期建物賃貸借が終了することを通知する義務があります。

通知は、契約期間が1年未満の場合は必要ありませんが、契約期間が1年以上の場合は期間満了の1年前から6か月前までの間に行う必要があります。

 

⑦定期建物賃貸借契約への切替え

更新時だからといって、賃貸人から定期借家契約への切り替えを強制することはできません。

居住用の建物については平成12年3月1日より前に結ばれた契約は、現在のところ、合意によっても定期借家契約への切り替えが認められていません。

居住用以外の建物や平成12年3月1日以降に締結された居住用の普通借家であれば、従来の借家契約を合意の上解除し、新たに定期建物賃貸借契約を結ぶことはできます。

ただし、賃借人の真の合意を得るよう注意しておかないとトラブルになり、定期借家である旨の特約が無効となる恐れがあります。

 

《参考》

住宅:『賃貸住宅標準契約書』について - 国土交通省 (mlit.go.jp) https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000023.html