はじめに
行政書士会の入会式の時、職務所請求書に関して多くの資料をもとに、かなり時間をとって説明されていました。その時は、十分に理解したとは言い難く、長く説明されているという印象でした。
その後、自分なりに調べてみて職務上請求書の重要性と行政書士として職務を遂行する上での職責の重さを実感するようになりました。
職務上請求
相続をする際には、誰が相続者であるのかが重要になってきます。このような場合、誰が相続者なのかを確定するために、戸籍を2代、3代と遡って確定しなければならないことがあります。
相続をはじめとして戸籍等が必要となった場合に、行政書士をはじめとする有資格者は戸籍謄本等を職務上請求することができるとされています。
戸籍法第十条の二
「弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士又は行政書士は、受任している事件又は事務に関する業務を遂行するために必要がある場合には、戸籍謄本等の交付の請求をすることができる。」
職務上請求書の導入
戸籍謄本等を請求する場合は、その事由を明らかにするものとされていましたが、かつては行政書士をはじめとする有資格者は、請求事由を明らかにすることを要しないとされていました。
法律で職務上の守秘義務が課せられていること等によるものであったようです。
無資格者による詐称事件などが発生したことから、1985(昭和61)年、法務省及び自治省からの要請に基づき、職務上請求の統一用紙が制定・導入されるようになります。
2005(平成17)年には、興信所の依頼により業務に無関係の職務上請求を行うといった職務上請求書の不正使用事件が発生します。
日本行政書士連合会は、再発防止と信頼回復のため「職務上請求書の適正な使用及び取り扱いに関する規則」を定めています。
個人情報を保護し、他人による不正行為を防ぐために、2008(平成20)年「戸籍法及び住民基本台帳法の一部改正」が行われました。
この改正で、弁護士をはじめとする士業者は業務を遂行する場合に、有する資格、業務の種類、依頼者の氏名・名称、利用目的などを明らかにしなければならないとされました。
以後より一層、厳格な職務上請求書の運用が行われるようになってきています。
おわりに
戸籍や住民票などは個人情報そのものであり、厳格に保護されていなければなりません。
職務とはいえ、こうした個人のプライバシーを扱う行政書士をはじめとする士業者は、特に自覚して慎重に個人情報を扱う必要があります。
残念ながら過去には不正使用が行われており、その反省から職務上請求書が導入されてきたようです。
このような問題が、二度と起こらないように、自らも襟を正さなければならないと思いました。