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借用農地の返還について

はじめに

農地の所有者(地主)から農地を借りている人(小作人)が、高齢化や後継者がいないなどによって、借用している農地を元々の所有者(地主)に返還する場合が増えてきているように思います。地主にとっては「耕作してもらっている」ということなので、今更、返還されてもどうしようもないことがよくあります。

返還された農地をそのままにしておくと耕作放棄地にもなってしまうので、どのように有効活用するかが、農業にとっての大きな問題となっています。

借用農地を返還するにも、農地を有効活用するために農業委員会への手続きが必要となっています。

 

Ⅰ借用農地の契約形式

農地を借りる場合、次の3パターンがあります。

①使用貸借契約(無償の貸し借り)

②賃貸借契約

③残存小作契約(戦前から貸していた小作地で、戦後の農地解放の際に解放されずに現在まで続いている小作地のことを一般に「残存小作地」という)

 

借用農地の契約形式によって農業委員会への手続きが変わります。まずは、どのような契約であるかを確認します。

分からないときは、農業委員会に問い合わせると記録が残っていることがあるようです。

 

Ⅱ農業委員会への手続き

①使用貸借契約の場合

「使用貸借にかかる農地返還通知書」に貸し手と借り手の両者が、記名捺印の上、提出します。

②賃貸借契約及び③残存小作契約の場合

《提出書類》「農地法第18条第6項の規定による通知書」「合意解約書」「印鑑証明」「登記簿謄本」等

 

使用貸借契約と違って、賃貸借契約や残存小作契約の場合は契約の時に農地法第3条の許可が必要になってくるので、借主からの返還といっても厳格な手続きが必要となっています。

農地等の賃貸借においては、解除・解約を制限する規定(農地法第18条第1項)があります。このため農地等の賃貸借の解除・解約は、原則的に許可を受けなければなりません。

許可を得ないでした解除・解約等は無効です。

ただし、知事の許可を要しないもの(農地法第18条第1項各号)に該当する農地の賃貸借を合意解約等する場合には農業委員会に通知書を提出することになります。

  

Ⅲ農業委員会への書類提出

毎月開催される農業委員会に提案するための事務作業の時間を確保するために、書類提出締切日が毎月何日までとされています。

 

Ⅳその他

地主側が主導して貸し借りの解消を望む場合には、耕作者の権利放棄の対価として金銭補償(離作料)がなされることがあります。