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公正証書遺言について

はじめに

2019年(令和元)年の死亡数は138万1098人でした。

同年の公正証書遺言の作成は11万3137件、自筆証書遺言の検認数は1万8625件、合計すると13万1762件となります。

遺言の種類として、秘密証書遺言とか、危急時遺言とかがありますが、件数としては少ないようなので、遺言といえば大多数が公正証書遺言となるようです。

 

公正証書遺言とは

遺言者が遺言を公証人に伝えて、公証人がその内容を文章にまとめて作成するものです。

 

特徴

・遺言内容の正確性・要件に不備が無いことを公証人がチェックする。

・遺産分割協議にならないように、遺言者の真意を確認して正確に記載する。

・検認は不要である。

・遺言者の意思能力が確認されるので、意思能力の欠如によって無効とされることはほとんどない。

・原本は公証役場に保存されているので、破棄・隠匿・改ざんの恐れがない。

・相続が発生するまでは、本人以外に開示することはない。120歳まで保存される。

・データとして登録されており、全国の公証役場で本人のみ検索できる。

 

作成手続きの流れ

①公証人への遺言の嘱託

信託銀行などの金融機関、弁護士・司法書士・税理士・行政書士等の士業、本人・家族からの依頼となる。

②各種資料と確認

・本人確認のための資料(印鑑登録証明書・免許証・パスポート等)

・相続人の確認資料(相続関係図の作成)

・遺言の対象となる財産の一覧表と本人の意向確認

・財産の一覧表をもとに価格を算定し、裏付け資料を用意する。

・後から財産が出てきた場合や遺留分についての対策を考えておく。

③作成場所

公証役場に本人が出向き、2人の証人の立ち合いのもとで公正証書遺言を作成します。もし、遺言者が病気等で公証役場に行けないときは、公証人が出張してすることも出来ます。

④意思能力について

遺言は15歳以上であればできます。また、障がいや病気のある人、認知症が疑われる人、成年被後見人などが遺言をする場合、法律にもとづいて個別に検討されます。

 

おわりに

公正証書遺言は確実に遺言内容が実現されるように、公の手続を経て、作成保管されているものです。従って、自筆証書遺言よりもはるかに多くの人が、公正証書遺言を選択しているようです。ただ、公正証書遺言は手数料等の負担が大きく、手続きも厳密であるがゆえに重たく感じるかもしれません。

公正証書遺言よりも手軽に作成できる自筆証書遺言については、遺言書保管法による遺言書保管制度がスタートしたので、今後は、自筆証書遺言が増えてくるかもしれません。

いずれにしても遺言者の意思が、きちんと反映される遺言書を作成することが重要だと思います。

 

《参考》日行連 中央研修所 研修サイトより

「遺言・遺言執行・死後事務委任等について」神田公証役場 公証人 小島 浩