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重要事項説明でハザードマップの説明義務

はじめに

大規模な水害による被害が毎年のように繰り返されています。そのため、不動産の取引においても水害リスクに関する情報提供が重要な要素となってきました。

国土交通省は、2020(令和2)年、水害リスクに関する情報提供のための宅地建物取引業施行規則の一部を改正する命令を発し、公布・施行しています。

概要

宅地建物取引業法では、宅地建物取引業者が購入希望者に対して、契約締結前に重要事項説明として事前に説明することが義務付けられています。

今回、この重要事項説明を行う場合に、水防法に基づき作成された水害ハザードマップにおける対象物件の所在地を事前に説明することが義務付けられました。

水防法に基づくハザードマップについて

水防法15条第3項に基づいて、洪水・雨水出水・高潮に関する水害ハザードマップが市町村によって提供されています。

ハザードマップは市町村のHPから入手することができます。市町村によっては紙での配布を行っている場合もあるようです。

市町村のHPに掲載されている水害ハザードマップは最新のもののようですが、作成時点が分かる場合には作成時点を明記することが望ましいとされています。

説明すべき事項

市町村が作成している水害ハザードマップに、取引される宅地または建物が含まれている場合に、その所在地を示して説明しなければなりません。

ただし宅地・建物の地番まで正確に示すことを求められているわけではなく、概ねの位置を示せば足りるということのようです。

もし取引される宅地・建物が浸水想定区域の外にあったとしても、その位置を示さなければなりません。

その際、浸水想定区域の外にあるからといって、水害のリスクがないと誤認させることのないように配慮する必要があります。

説明の義務はありませんが、近隣にある避難所についてもその位置を示すことが望ましいとされています。

水防法に基づくもの以外の「ため池ハザードマップ」等についての説明までは必要ありません。

市町村が水防法に基づく水害ハザードマップを作成していない場合は、「このようなハザードマップは作成されていません」と説明する必要があります。

おわりに

近年の水害によって思わぬ被害を生じることが、各地で多発しています。

宅地・建物の取引は、購入される人にとっては長期にわたる生活の基盤となるものであり、簡単に取り換えることができません。

納得をもって契約をする上でも、将来のリスクを認識することは重要であり、重要事項としてきちんと説明することは大切なことであると思います。