はじめに
無人飛行機(ドローン等)の進化によって新たなビジネスや趣味としての利用者が急増しています。
利用が頻繁になってくると、さまざまな面での安全が脅かされ他人に危害が及ぶ場合が生じてきます。
このため、航空法をはじめとした関係法令の改正によって安全運航の適正化が図られてきています。
無人航空機とは
第2条22 この法律において「無人航空機」とは、航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船その他政令で定める機器であつて構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作又は自動操縦(プログラムにより自動的に操縦を行うことをいう。)により飛行させることができるもの(その重量その他の事由を勘案してその飛行により航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全が損なわれるおそれがないものとして国土交通省令で定めるものを除く。)をいう。
人が載ることのできない空を飛ぶもので、遠隔操作または自動で飛ばすものということです。
具体的には、いわゆるドローン・ラジコン・ヘリコプター・飛行船といったものを注しています。
模型飛行機とは
「航空法」では、機体本体の重量とバッテリーの重量を合わせて200g未満のものは、無人航空機ではなく、模型航空機に分類されています。従って無人航空機の飛行ルールは適用されません。
ただし「小型無人機等飛行禁止法」では、重さや大きさに関わりなく小型無人機とされ、国が定める重要施設(国会議事堂や防衛施設など)や空港の周囲おおむね300mの地域の上空においては飛行が禁止されています。
飛行禁止空域
次の空域については原則として飛行禁止です。
(A)150m以上の空域
(B)空港周辺の上空
(C)人口集中地区の上空
以上の空域で飛行させようとする場合は、国土交通大臣の許可が必要です。
もし違反した場合は50万円以下の罰金が科せられることがあります。
飛行ルール
①アルコール等を摂取した状態では飛行させないこと。飲酒時の飛行は1年以下の懲役又は30万円以下の罰金が科せられることがあります。
②飛行前に気象状況・機体の異常・バッテリーなどのチェックを行い、安全な飛行ができる状態であるかを確認する。
③航空機や無人航空機と衝突しそうになった場合は、地上に降下等して危険を回避すること。
④過剰な騒音などして他人に迷惑を及ぼさないこと。
⑤日の出から日没までの日中に飛行させること。
⑥直接肉眼による目視飛行の範囲内で飛行すること。
⑦第3者や他人の建物・車両との間に、30m以上の距離を保って飛行すること。
⑧多数の人が集まる催し場所の上空で飛行させないこと。
⑨危険物を輸送しないこと。
⑩無人飛行機から物を落とさないこと。
その他関係法令の遵守等
①河川については、河川管理者に問い合わせます。
②電波法を遵守します。
③第3者の所有する土地の上空で飛行する場合、所有権の侵害となることがあります。
民法207条は「土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ。」となっています。
「上下」とあるだけで、具体的な高さ・深さは示されていませんが、航空法施行規則第174条1号イによると「最も高い障害物の上端から三百メートル」とあり、これが目安ではないかとされています。
土地の上空をドローンが飛行したからといって直ちに所有権を侵害する訳ではないようですが、土地の上空にも所有権が認められているため、無許可で飛行させてしまうと損害賠償のリスクも考えられます。
他人の土地の上空でドローンを飛行させるには、土地所有権を有する人の許可を得たほうがよいでしょう。
④映像を空撮しインターネット上で公開する場合には、プライバシーの侵害とならないように配慮します。
道路交通法
道路交通法によって、道路(歩道も含む)を使用する場合は管轄の警察署の許可が必要です。
ドローンの離発着は「道路を占拠する行為」なので許可が必要ですが、単にドローンを利用して道路上空から撮影を行おうとする場合は許可を要しないようです。
しかし道路の上空を飛行させた際、ドローンが道路に落下して交通事故が起こってしまうことも考えられます。
また、ドローンを使用する場合の機材や操縦士が道路を占有すれば交通妨害となります。
警察の判断で「道路使用許可」が得られれば適法となるので、いずれにしても管轄の警察署にて確認することが必要です。
おわりに
ドローンを飛行させる場合、航空法・小型無人機等飛行禁止法・民法・道路交通法・電波法といった法律や自治体での規制に基づいて使用しなければなりません。
多方面での有用性が唱えられているこの頃ですが、多くの規制も存在しています。
事故やプライバシーといった課題があることを理解したうえで、ルールに則って活用していきたいものです。