はじめに
2008(平成20)年より、経済連携協定(EPA)に基づき、特例的に外国人介護労働者を受け入れており、その更なる活用が求められていたことから、技能実習生の介護の受入れが、2017(平成29)年に追加されました。
【1】基本的な考え方
①外国人介護人材の受入れは、単なる介護人材を確保するものではなく、技能移転を通じた「人づくり」の観点によること。
②介護サービスの特性に基づく懸念に対応するための3つの要件に対応すること
(ア)介護が「外国人が担う単純な仕事」というイメージにならないこと。
(イ)日本人と同様な処遇を確保し、日本人介護者の処遇・労働環境の改善の妨げにならないこと。
(ウ)介護サービスの質を担保するとともに利用者の不安を招かないようにすること。
【2】介護の固有要件
①コミュニケーション能力の確保
1年目は基本的な日本語を理解することができる「N4」が要件で、2年目は「N3」が要件です。
②適切な実習実施者
介護の業務が現に行われている開設後3年以上の事業所で、訪問系サービスは対象外です。
③適切な実習体制
技能実習生5名につき、1名以上の技能実習指導員が必要で、そのうち1名以上は介護福祉士でなければなりません。
夜勤業務・緊急対応等、技能実習生以外の介護職員と技能実習生の複数で業務をおこなうなど、利用者の安全確保に必要な措置を講じること。
④監理団体
監理団体の役職員に5年以上の実務経験がある介護福祉士を配置する必要があります。
【3】評価試験
1年目修了時
指示の下であれば、決められた手順に従って基本的な介護が実践できる。
3年目修了時
自ら介護業務の基盤となる能力や考え方に基づき、利用者の心身の状況に応じた介護を一定程度実践できる。
5年目修了時
自ら介護業務の基盤となる能力や考え方に基づき、利用者の心身の状況に応じた介護を実践できる。
おわりに
外国人が介護の現場で働くことについては、介護現場の人手不足を何とかして欲しいという要請からであると思われますが、それだけでなく高齢者の介護は、どの国にとっても重要な課題です。超高齢社会の日本における先進的な介護技術が、多くの国に、うまく伝わるような仕組みであってほしいと思います。