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入管法と行政(11)~入管法の歴史①~

【1】はじめに

原稿の入管法は1951(昭和26)年に「『ポツダム宣言』ノ受諾ニ伴ヒ発スル命令ニ関スル件」による政令出入国管理令」として制定されました。

制定当初、外国人の就労については政策課題としてはほとんど意識されていませんでしたが、戦後の経済発展と国際化の進展によって外国人の受入れ範囲が拡大していきました。

やがて国内における不法就労の問題が顕在化し、出入国在留管理行政上の大きな課題となって来ます。

【2】1989(平成元)年の改正

①概要

多数の外国人が入国・在留する時代に対応するため、特に在留資格制度が抜本的に改正されました。在留資格については、それぞれの在留資格の名称と外国人が日本で行う活動や身分、地位が別表で明示され上陸許可基準制度も設けられました。

また在留資格認定証明制度が新設され、退去命令規定も整備されました。

②基本方針

専門的な技術・知識等を必要とする業務に従事する外国人は受け入れるが、単純労働に従事する外国人は受け入れないという基本方針に基づいて、「技術」「人文知識・国際業務」「技能」の在留資格が定められています。「技術」「人文知識・国際業務」は2014(平成26)年の改正で「技術・人文知識・国際業務」に統合されています。

【3】改正後の状況

(ア)日本人の子として出生した者が別表2の「日本人の配偶者等」又は「定住者」の在留資格を取得した場合、単純労働に従事することが可能となりました。これによって日系人の急増がもたらされました。

(イ)1989(平成元)年の改正で「研修」が新設され、「研修」で在留する者が実務研修という形で商品生産・販売等の業務に従事することが認められました。

実務研修が含まれる「研修」について、いわゆる監理団体による受入れが認められたことから研修生が大幅に増加しています。

1994(平成5)年には「研修」で在留する間に技術・技能・知識を修得した外国人が研修終了後に雇用契約に基づいて業務に従事する技能実習制度が創設されています。しかし研修名目で外国人を受け入れても適正な研修を実施しなかったり、研修生を低賃金で働かせるなどの不適正な事例が多く生じてしまいました。

【4】2009(平成21)年の入管法及び外国人住民基本台帳制度の改正

平成になり在留外国人は、1990(平成2)年の1,053,041人から2008(平成20)年には2,144,682人に倍増しました。外国人の増加に伴い、生活者としての外国人に係わる対応が必要とされてきました。

2009(平成21)年に入管法が改正されて中長期在留者の情報を継続的に把握するための制度と同時に住民基本台帳法改正による住民基本台帳制度が構築され、両制度の連携が図られることとなりました。