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精神障害について

はじめに

障害のある人に対する支援として、成年後見制度の活用が考えられます。

後見人として障害のある人を支援する場合、障害について理解しておくことは重要です。

今回は、精神障害について考えてみます。

【1】精神障害とは

精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」において、精神障害者は次のように定義されています。

第5条 この法律で「精神障害者」とは、統合失調症、精神作用物質による急性中毒又はその依存症、知的障害、精神病質その他の精神疾患を有する者をいう。

精神障害者」とは、統合失調症や急性中毒&依存症、双極性感情障害、てんかんといった精神疾患がある人ということのようです。

【2】精神障害者処遇の歴史

精神病者監護法

1900(明治33)年に成立した精神障害者に関しての初めての法で、法的に私宅監置が認められ、家族で何とか対応すべきものとされました。

精神衛生法

1950(昭和25)年、「精神病者監護法」が廃止され、代わって成立した法です。精神障害者の私宅監置が禁止され、都道府県に公立の精神病院の設置義務が課せられました。また、精神障害者措置入院と保護者の同意による同意入院の制度ができています。

③精神科特例

1958(昭和33) 年に、厚生省は精神科病床の医師配置を一般病棟の3分の1、看護職員配置を当面5分の3でよいとする医療法施行規則のいわゆる「精神科特例」を通達しています。

ライシャワー事件

1963(昭和38)年に、駐日アメリカ大使のライシャワーが、統合失調症の少年によって刺傷されるという事件が起きました。

事件後、精神衛生法が一部改正され、在宅精神障害者の治療の促進や通院医療費の公費負担制度が創設されました。しかし、措置入院制度が強化されたことで、隔離収容型の精神医療が進んでいきます。

精神障害者への人権侵害事件

1983年、精神科病院報徳会宇都宮病院で看護職員らの暴行によって患者2名が死亡したという事件が発生しました。また、1993年には大阪の大和川病院に入院中の患者が暴行を受け、搬送先の病院で死亡するという事件がありました。

このような精神障害者に対する人権侵害事件が繰り返されてきています。

⑥現状

精神科病床数は横ばい状態のようですが、10年以上の長期入院者数が全体の20%あまりとなっており、退院可能な患者の社会復帰が課題となっているようです。

【3】精神障害の状況

◇機能障害…精神疾患によって脳の機能が十分に働かない。

◇能力障害…自分の立場や置かれている現実を理解できず、感情のコントロールが難しい。

◇社会的不利…人間関係や社会関係を保持することが難しい。

◇体験としての障害…自分には病気や障害があるから何もできないと思ってしまう。

精神障害者は、様々な障害を有しているだけでなく、社会の根深い偏見や差別にさらされる生活を余儀なくされている。

【4】社会資源の活用による支援

①医療について

◇精神科の入院

本人の同意がある任意入院と本人以外の同意による医療保護入院措置入院・応急入院があります。

精神障害者保健福祉手帳

1級(重度)から3級まであり、さまざまな支援を受けられます。

自立支援医療制度(精神通院医療)

通院にかかる医療費の自己負担額の原則1割負担となっています。

障害福祉サービス

地域で生活するための支援制度として、訪問介護訪問看護デイケアグループホームといったものがあります。

③経済的支援

生活保護障害年金の受給といったものがあります。

おわりに

精神障害者に対するイメージはマイナスであることが多く、社会の偏見や差別につながっています。

厳しい社会的な状況の中に置かれている精神障害者を理解するためには、まずは本人を人間として理解すること、そして本人の個性や生活史を理解し、その上で障害や病気を理解することが大切であるといわれています。

あくまでも一人の人間として尊厳を持って理解し、支援することが重要なことだと思います。