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認知症について

はじめに

高齢化が進展するに伴って、認知症の高齢者が増加することが予想されています。認知症によって判断能力が低下した高齢者を支援するために成年後見制度の整備が急がれています。

【1】認知症とは

認知症という病気があるわけではなく、何かの病気によって脳の神経に障害が生じたことで起きる症状の総称です。脳の病気が悪化すると認知症が進行し、理解力や判断力が低下して社会生活や日常生活に支障をきたすようになります。

【2】物忘れと認知症の違い

加齢により物忘れをすることがあります。これは脳の生理的な老化現象であり、日常生活に特段の支障があるわけではありません。例えば、結婚式に出席はしていたことは覚えているけれど、そこでどんな体験をしたのか一部を忘れてしまうといったことです。ヒントがあれば思い出すことができます。

一方、認知症の場合は、結婚式に出席したこと自体を忘れるというように、体験したエピソードの全体を忘れてしまいます。忘れたことの自覚もなく、ヒントがあっても思い出せません。

【3】認知症の原因疾患

認知症の主な原因となる疾患は4つあります。

アルツハイマー認知症

アミロイドβによって脳の神経細胞が破壊され、脳の萎縮が進んでしまいます。

レビー小体型認知症

ハッキリした脳の萎縮は見られませんが、レビー小体によって脳の神経細胞が破壊されます。

◇血管性認知症

脳梗塞脳出血などによって脳の一部が壊死してしまいます。

◇前頭側頭型認知症

前頭葉や側頭葉が徐々に萎縮していきます。

【4】認知症の症状

認知症の症状としては、中核症状と周辺症状(行動心理症状)があります。

①中核症状

脳細胞がダメージを受けることによって生じる症状です。

見当識障害

時間・場所・人物などがわからなくなります。

◇記憶障害

覚えたり、思い出すことができなくなります。

◇理解・判断力障害

理解するのに時間がかかったり、複数の事柄を理解できなくなってしまいます。

◇実行機能障害

論理的、計画的に実行できなくなります。

②周辺症状(行動心理症状)

中核症状によって引き起こされる二次的な症状のことです。

抑うつや妄想など、その人の生活環境や性格・生活史などが影響し、人によって出る症状が異なっています。

【5】関わり方

認知症による障害を理解し、認知症の人ができることを尊重します。子ども扱いしたり、あきらめさせたり、強制したり、軽蔑したり、認知だからとレッテルを貼ったりしてはいけません。記憶や判断力が失われたとしても感情は残っているので、人としての尊厳を持って支援します。

安心・信頼できる環境を整えて生活できるようにするとともに、疾患や周辺症状に対する適切な治療やリハビリを行います。

おわりに

認知症の人は判断能力が低下しているため、常に人権を脅かされる状況にあります。認知症といえども、一人の人間として尊重されるべきであり、理解しがたい行動をしたからといっても、人としての敬意をもって接することが大切であると思います。